こんにちは、今日はDefi保険Sherlockのお話です。
分散型で保険商品を扱うというすごい商品だったのですが
おおよそ1年が経過しかなり悲惨な実績となりました。
Sherlockとは?
公式HP:https://www.sherlock.xyz/
トークン:$SHER(非上場)
チェーン:ETHメインネット
プロトコル:Defi、保険プロトコル
投資銀行出身のJack Sanford氏により2021年に作られました。
正式なサービス開始は2022年4,5月頃だったかと思います。
特徴としてはDefi本体に対して最大$5M(6億円)の保険をかけることができることです。
保険のプロトコルとしてInsureDao等がありますが、個人が自分の資産を守るための保険
(Insure使ったことないので違ったら教えてください)
に対してDefi側が保険をかけることができるという点が非常に魅力でした。
プロトコルに対して個人がカバーできる、運用益を確保できるという点が強みですね。
利回りはUSDC15%程度+トークンを確保しており非常に強い利回りを出していました。
Defi保険の意義とは
作文になってしまいますが、
世の中でお給料の良いお仕事を連想してみてください。
金融だと銀行、証券、保険
不動産、広告、医療、商社
メーカー、ITエンジニア
でしょうか、ちょっとおもったより候補出てしまったんですが
銀行はかなり分散化、DefiのUniswapで交換やMetamaskを利用しての送金等
かなり一般化しつつあります。
証券については各国がかなり監視しており法律上当分難しいでしょう。
その分野でいうと保険は参入余地のある大きなマーケットです。
事実Sherlockは5.5M(7億円ぐらい)を資金調達しています。
DeFi Risk Assessor Sherlock Raises $1.5M in Pre-Seed Funding
Crypto Auditing Platform Sherlock Raises $4M in Funding
保険の歴史は長い
保険の原型紀元前にあるそうです。
海運系で保険がかけられたというのが有名かと思ってたのですが限界はもっと昔のようでした。
マネードクターさんの記事を読む限りギルド(組合)で保険をかけてリスクを分散化してたようですね。
各々が出資してリスクを分散するのは今のDefiの保険にちょっと似てますね。
聞いた話ですが生命保険系は3割程度が利益になるそうでして非常に儲かる商品だそうです。
http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/7444.htm
(原価を公開してくれてるサイトさんがあったのですが似たような感じなきがします)
とりあえず個人レベルで知っておくことは
保険は昔から必要とされていた
儲かる
つまりDefi化すると利回りの良い商品が生まれる可能性がある
凄く意義がありそうじゃないでしょうか!!!
Sherlockで起きた出来事
端的に言うとハッキングの回数が多すぎたことによる崩壊です。
Sherlock 70%ロスかぁ
Defiって怖い pic.twitter.com/ctNZF3SIcL— 毎日瀕死マン (@viwashi_) April 23, 2023
商品としては
USDCを半年ロックでステーキングします。
ユーザーは利回りの確保とガバナンストークン$SHERの付与がされます。
問題がなければプロトコル側から収益が入るので
ユーザーには高い収益が、Defiプロトコル側には安心が、Sherlockも中間マージンが
と達成できれば素晴らしい感じです!
実際に起きた出来事
ラウンド1(2022年4~10月)
2022年3月末頃スタート 半年間ロックでした。
目立ったハッキングはありませんでしたが
USTの問題が発覚しており、カバー先のDefiが破綻しなかったのは運でした。
ここでは利回り+$SHERを確保できました。
僕は大変リスクを感じて撤退しました。
ラウンド2(2022年10月~4月)
2022年12月MaplerFinanceの破綻に伴い4Mの損失
Crypto Audit Platform Sherlock Expects $4M Loss From Troubled Loans on Maple Finance
Sherlockはステーキング中の自己資金もさらに運用します、
FTXの破綻に余波で破綻したMaplerFinanceにも$4M預けておりステーキングの資産から損失がでました。
金額的には資産の1/3いきなり復旧が困難となりました。
2023年3月 Eulerのハッキングへの補填
EulerFinanceという大きな取引所がハッキングにあい$200Mの被害がでました。
3.3Mの補填をおこないました。
多額資金流出のEuler Finance、最新情報が公開|寄付機能が原因か
Unfortunate news@eulerfinance, a Sherlock protocol customer, was hacked earlier today for ~$200M.
Sherlock verified the root cause, helped Euler submit a claim, held a vote on the claim for $4.5M (which passed), and executed $3.3M of the payout today.https://t.co/CT7aBml9bV
— SHERLOCK (@sherlockdefi) March 13, 2023
2023年4月 Sentimentに対する補填
Sherlock paid out ~$50k today as part of making @sentimentxyz users 100% whole:https://t.co/uoZBedU8Xn
Note: Even if the hacker had not returned any funds, Sentiment users would have been reimbursed 100 cents on the dollar by Sherlock for this exploit.
— SHERLOCK (@sherlockdefi) April 7, 2023
結果としてステーキングしている人の資産は70%のロスという形になったようです
なんでDefi保険は難しい?
Code is lawと言われるようにコードは絶対の物に昇華できる可能性があり
現状は監査がうまく機能していないんじゃないかなと思います。
将来は技術的に達成できると思います。
MapleFinanceは市況の悪化によるコードの外の話
Eulerはコードの中の話ですので監査の失敗
Sentimentも同じで監査の失敗
コード外の話
DefiはFTX,USTといった市場に信用価値の低いトークンによって
暗にかかってるレバレッジによって利益を上げている構造がある。
これはクリプトの現状なので簡単には解決しない気がします。
カバーを引き受ける際の先方の財務状況をしっかり把握する必要があるのではないでしょうか。
最近だとSVB(シリコンバレー銀行)の破綻も心配されました。
僕も自分がお金預けてるところには色々聞いてみました!
大きなお金は連鎖していくものなので
Defiも企業側がバランスシートを正しく保つ必要も大事になりそうです。
そこも監査しないといけなそうです。
コードはいつか完璧になるはず
現状は完璧な監査というのが難しいというのと、
監査はバグを探す仕事ですが、バグを見つけて得られる報酬よりも
攻撃したほうがメリットになってしまうのでそのへんの事情もありそうです。
(監査してくれてた人が攻撃者に転向する可能性すらあります)
Euler、SentimentはリアルLaw(法律)を警戒して返金をしました。
こうしたものも圧力になっていくのかなと思います。
(今までは逮捕されなかったので)
Sherlockは性質的に多種類のDefiのカバーを引き受けており監査をするのも大変だったと思います。
もう少し監査側が強く、基準をもてないといけないかもしれませんね。
そんなに遠くない将来に完璧になるんじゃないかなと思います。
頼むぞAI!
Defi保険SHerlockの話
自分はラウンド1だけ入れていたのですがUST騒動も若干ダメージを負い
かなりナイーブになり撤退していました。それで助かっただけで
2022年の運用は常に紙一重でした。
2023年も被害にあっているDefiは多くまだまだ時間はかかるだろうと思います。
Sherlockは2/3程度をすでにロスしてしまっており、
トークンの価値もついていません。
資産が減ってしまうとカバーの引受も難しくなっていくのでサービスの継続は難しいんじゃないかと思います。
一撃で200億と言った規模のハッキングが発生してしまう現状は5億10億でカバーするのは現実的ではなくて
もうちょっと母体が大きい所じゃないと作れなそうですね。
まとめ
Defi保険は必要なもの、意義があるもの
将来的にコードの監査が完璧になり統計的な被害の推計ができるようになるハズ
(リスクの管理が安定してくる)
SHerlockは資産のロスが多く復旧は困難かもしれない
母体の規模が小さいところが保険を運用するのは難しいのでは?
そんな感じに思いました。
新しい物の開始時期はいろいろなトラブルを孕みます、
時間をかけて徐々に良いものが生まれていくそんな所じゃないでしょうか。
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