【映画・感想】帰ってきたヒトラー(吹替版)

アニメ・映画感想

こんにちは、毎日瀕死マン@viwashi_です。

 

私は映画やアニメが結構好きで家にいる間は大体つけています。
その感想でございます。
この記事はネタバレを含みます。

 

 

見た作品について

タイトル:帰ってきたヒトラー(吹替版)
ジャンル:コメディ、ドラマ
監督:デヴィッド・ヴェンド
ドイツ

 

ジャンルはコメディとなっておりますが、非常に考えられます。

 

あらすじについて

1945年ヒトラーは自殺後に現代(2014年)のドイツによみがえります。
混乱しながらも、現代であることを理解していきます。
そこに首になったばかりのテレビクルー「サヴァツキ」はヒトラーを
ヒトラーそっくりな人、ヒトラーだと思い込んでいる人(本にではないと思っている)
として目をつけ、自分がテレビ会社に返り咲くために動画制作に誘い、
ドイツ中を一緒に旅します。ヒトラーはドイツ中で人々の話を親身に聞き、
共感をし、なんとかする!と頼りになる言葉をかけながらドイツの問題を理解
していきます。そして動画は大ヒット。
サヴァツキはテレビに返り咲き、ヒトラーもテレビのコメディアンとして大人気になります。
しかしヒトラーはヒトラーで全く変わっていません・・・。

というお話です。

以下ネタバレになります。
日本版の予告編は異常にコメディチックなのですが
全く別物です。

 

 

 

作中のヒトラーについて

ヒトラーはいい人、魅力のある人として描かれます。
人の問題についても親身に耳を傾けます、時には計算し尽くされたジョークも交えます。
演説の天才とされていた彼のトーク技術はいたるところで発揮されます
彼には確固たる信念があり、それが揺らぐことは全くありません。
信念を持ち進める、最善の答えを出せる(と思ってる)強い指導者の姿があります。

作中でも人種については非常に強い差別意識を見せます。
普段は我々はもう目にしないような発言がホイホイでてきます。
ヒトラーの本質は全く変わっておらず、現代のテレビを見れば、
プロパガンダに利用しようとすぐに考えてしまいます。
それが彼のコメディアンとして地位を高めていくシーンの怖さでもあります。

 

今のドイツと重なる部分

特にクローズアップされているのは
ヒトラーの現代のドイツでの扱いと移民問題です。

まずヒトラーについてですが、ドイツでは民衆扇動罪という法律が定められており。
禁止されています。この作品自体、非常にグレーな中ででてきており、
作中においてもヒトラーを出していいのか?といったテレビの事情は話されます。
戦後70年が経過しており、現代人は過去を反省し、同じ過ちは繰り返さない
そのため大丈夫。といった形で作品は進みます。視聴者と同じ目線です
作中では政党や街頭で人々から話を聞くシーンがありますが、
一部は実際にドイツの一般人に対してアドリブ形式の撮影が行われています。
彼らはスマホで写真を一緒に撮影する等好意的な対応をしています
現代におけるヒトラーは忌避するものではなくなりつつあるのかと考えさせられます。

次に移民問題についてですが、2015年ドイツはメルケル首相が移民の受け入れを表明し。
当初は好感を持つ方も多かったようですが、だんだんと問題になってきています。
作中でもインタビュー時には移民問題触れる人が多くクローズアップされます。

独首相の保守連合、支持率が過去最低に 極右は最高=世論調査
https://jp.reuters.com/article/germany-politics-idJPKBN1KO04I

実際に2018年の今はメルケル首相のキリスト教民主・社会同盟は支持率を落としており、
右翼勢力が支持を集めています。ドイツは決して移民に対して好意を持ってばかりも
いられないと感じています。

やはりヒトラーはヒトラーであった。

トラブルをおこし、テレビから一時姿を消すもののその時は本「帰ってきたヒトラー」を書き
それがまた大ヒット。3ヶ月でテレビで起こした問題は一度忘却されています。
彼はやがて自分の熱心な支持者をFacebookで集め、親衛隊を作りはじめます
本は映画化、テレビ会社からは手をきられていたものの、業績が傾いたため
テレビ会社はすぐにまた媚びてきます。
(ここでヒトラー反対派の人が改めて意見しますが、それは業績の前に無視されます)。

秘書としてともに仕事をするサヴァツキの恋人クレマイヤーの家に招かれるものの
そこにいた祖母(痴呆症)がヒトラーを見た瞬間。ホロコーストを思い出しぶち切れ
ヒトラーを追い出します。「最初はよかった」この言葉で視聴者である我々も
彼がやろうとしていることの重みを思い返します。
サヴァツキは演技を常にするのは辞めろと彼に伝えますが、
ヒトラーはクレマイヤーにユダヤ系の血が混じっていることを残念がり、
サヴァツキにクレマイヤーのユダヤ系の血は薄そうだから大丈夫だと励まします。
(そうじゃない)

ヒトラーは全く揺るぎません。ヒトラーは作中ずっとヒトラーなのです。
魅力あるいい姿も、ナチズムの意識を持つヒトラーも同一人物です。

サヴァツキは最初の動画を確認、
彼がタイムスリップした本人だと確信を持ち彼を追い詰めようとします。
彼は言います
当時のドイツでは民衆が選択したと。選ばれたのだと。
ドイツ人の一人一人の心の中にいると。

映画は無事にクランクアップし、大ヒット
ヒトラーとテレビ局の副社長ベニーニと一緒にオープンカーで颯爽と走り抜け
ここでも実際の一般の街の人々のある程度好意的な反応でおしまいとなります。

 

まとめ

作中では、彼はコメディアンとしてふるまいながらこの後も着々と進めていくのでしょう。
成果を得るために合理的な選択をしていくので、差別意識や自分の主張も押えるでしょう。
時には敵対勢力とも手を組むこともいとわないです。こりゃ怖いですね。
悪いことばかりじゃなかった」という台詞が映画の〆になります。
その時代に戻りたいと思っている人には響きかねないセリフです。
(そのためのセーブとして、直前にクレマイヤーの祖母との接触があると思われます)。

ドイツの抱える問題と、今もしヒトラーがいたらどうなるか?を深く考えさせられる
作品でした。大衆は非常に好意的であり、果たして本当に?
コメディじゃないような気がします・・・。

 

 

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